映画ガメラを鑑賞レポート

上映日時5月5日 16:15 
場所: 新宿ジョイシネマ


上映開始から一週間経っておらず、GW期間中だというのに客足はまばら、入場数は約1/3以下だったことには驚きました。 
新宿歌舞伎町という場所的な問題なのか親子連れというより大人同士での客が目立ちます。 別の場所ではかなり入っているとの情報もありますが、定かではありません。
今週の映画ランキングでは6位、上映最初の一週間が勝負時なのに、この結果は成功とはいえないでしょう。

内容は題名の文字のバランスが象徴するように「小さき勇者たち」(副題)が最初に大きくきて、「ガメラ」(本題)が申し訳なさそうに後から、くっつくという、本来の特撮怪獣映画というよりも人間ドラマが優先しているように感じました。
怪獣マニアだけではなく、一般的な親子も狙っているため、あえて愛くるしいケヅメの生体が使われたのでしょう。
ガメラシリーズを楽しみにしていたファン、特撮怪獣映画を観たかった人にはかなり物足りない内容になっていたのではないでしょうか。
恐怖シーンは一個所だけ、初めて登場した怪獣が上陸して人間を食べるシーン、これのみです。

感動シーン。 一般的な魅せ場と言われる箇所は、二箇所あります。 
混乱の中、逃げ惑う群集をかき分け、子供達が弱ったガメラにエネルギーの詰まった石をリレー式に手渡し最後にガメラの口に入れるシーン。
戦いで弱ったガメラを回収しようとする大人に対して子供達が行く手を阻むシーン。
正直、このシーンを見せるが為に作った映画ならば、お粗末という以外に言葉はありません。 
とても薄っぺらい内容だし、こんな映画のためにケヅメが殺されたかと思うと、悲しくなります。 

一つ悪い意味でビックリしたシーンがありました。 
ツインタワーの上空階にガメラが突っ込むという内容です。 
破損して穴の開いたビルからは書類の紙吹雪が舞って落ちるという、そのまんま、9.11ニューヨーク貿易センタービルの自爆テロの再現をやったことです。 
まだ犠牲者の心の傷が癒える時期ではないのに、ただ迫力だけを追求してこのようなシーンを撮ったのであれば、この監督の考えはあまりにも浅はかではないでしょうか? 
このシーンに政治的な意味合いがあるとは感じられませんでした。 ”悪質な茶化し”以外の何者でもありません。
アメリカ人では無い私が観ても大変気分の悪い内容でした。

本題に入ります。
ケヅメが登場するシーンは最初の30分と最後の回想シーンです。 合計35カット位でした。
ケヅメが宙に浮くシーンは計6回、顔の表情を変えるなどしてCGを交えながら、完全に吊っていました。 
ここで疑問です。 CG技術を駆使し様々な工夫をしているのに、同じシーンで、なぜケヅメをワイヤーで吊らなければならないのか? 浮くシーンもそのままCGで加工してしまえばと素人なりに感じました。 
多分微妙な迫力がCGでは伝わらないのでしょうか、そんな期待するようなシーンでもないような気がするのですが。

残念ながら階段から落ちるシーンと厨房でコックに踏まれるシーンは本物かフィギュアか判断できませんでした。
多分、フィギュアでしょう。 
ただ、フライパンを滑りながら飛ぶシーンは生体を使っています。

一つとても気になることがありました。
映画の中のガメラは事在るごとに、せつなく鳴いて感情を表現します。 
その鳴くシーンでは、表情などを作るのにCGは使わず、実際のケヅメが口をパクパクさせている行為をシーンとして使用していました。  
健康なケヅメは発情期以外は鳴きません。 もし鳴くとしたら、肺炎などを患った時のみです。 ただこの場合、正確には鳴くのではなく、器官から音が出ているだけなのです。 
つまり体調を崩し口をパクパクして器官から音を出している最悪の状態であるケヅメをガメラが鳴くシーンとして使っていたとしか考えられません。
映画の中での鳴き声は、後からの吹き込みでしょうが、カメのパクパクした行動は間違いなく本物を使用しています。
この状態をほっておけば抵抗力のない幼体であれば死を意味します。 
これは完全に虐待行為ではないでしょうか。 知らなかったでは済まされません。 

映画の最後に注意書きテロップが流れます。 
‐ケヅメリクガメは大きくなるので安易に飼育はできません
‐リクガメの体調を考え撮影が進められた
‐撮影中は一切虐待行為はなかった

3秒程度で消えてしまう、この注意書きを誰がまともに読みきれるのでしょうか。 
書かれていることはもっともらしい内容ですが、製作側の意図が読めません。 

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